何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




動物病院から5分もしないうちに着いた中井くんの家は、モダンで洋風の一戸建てだった。

玄関のポーチはレンガ調で、その周りには花々が植えられたプランターや植木鉢が整然と置かれていた。

中井くんのお母さんがお手入れしているのかなあと考えながら、私は彼に促されて家へと入った。

玄関先は真っ暗だった。すでに日が落ちているから、電気がついていなければ暗いのは当たり前だけど、家の人は誰もいないのかな。

外から見た感じでも、明かりが灯っている部屋はなさそうだった。


「中井くん、おうちの人は?」


手探りで玄関周りの電気を付けた中井くんに私は尋ねた。

たたきもきちんと掃除されていて、無駄な靴はまったく置かれていない。

靴箱の上には、透明なお皿に入ったポプリが置いてあって、フローラルな心地の良い香りが鼻腔をかすめる。

これだけで、中井くんのお母さんが素敵な人なんだなと分かる。


「あ、父さんは仕事で遅いし、母さんは弟のスイミングの送り迎えに行ってて。帰ってくるのは8時頃かな」

「へー、中井くん弟いるの? 何歳?」

「小6。めっちゃ生意気だぜー。まあ仲はいいけどさ」


中井くんの弟なら、きっと可愛い顔をしているに違いない。小学校でも、女の子にモテモテなんだろうな。

などと呑気なことを考えていた私だったが、ある重大なことに気づいてはっとする。