何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

そして中井くんは以前に猫を飼っていたから、だいたいの金額が分かっていたのだろう。


「どうしよ……こんな高いの、払えない……。1度お母さんに相談しないと」

「ん、俺が払っておくから大丈夫」

「えーー?」


するの中井くんは、すっと財布を出して、スムーズな動作で1万円札を5枚会計用のトレイに置いた。しかも、彼の財布にもっとお金が入っているようにも見えた。


「な、中井くん。どうして、そのお金」

「ん? ああ。親父に「前に話してた猫が事故に遭って、今病院にいる」って電話で伝えたら、えらく心配した感じで家に置いてた緊急用のお金を使っていいって言ってくれたんだ。やっぱりトラ子のこと、気にしてたんだなー」

「そ、そうだったの? で、でもこんな大金……」

「いいのいいの。親父は好きで出してるんだから。気にしないでよ」


恐縮する私に、中井くんはこともなげに言った。本当に、大したことだと思っていない風だった。

中井くんとお父さんも、猫の命のためなら、いくらお金がかかっても気にしないような人達なんだ。

ーー優しい家族だな。



「あ、ありがとうっ! 中井くんも、お父さんもっ……!」

「だからいいってば。親父は猫バカなだけなんだからさ。ーーところで折原さん。このあと、どうするの?」

「え……?」