何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

ーーすると。


「……大丈夫だよ。きっと」


そんな私の手を、彼が包み込むように握った。

ーーあったかい。

中井くんの体温が手のひら越しに伝わってきた。その温かさに、緊張していた心が幾分が和らぐ。

気づいたら、身体の震えは止まっていた。


「あ……ありがとう」


トラ子への心配は少しも消えなかったけれど、ひどくざわついていた心は彼のおかげでだいぶ落ち着いた。

ーーあれ以上私1人でいたら、パニックになっていたかもしれない。

どうして中井くんの手の平には、こんな不思議な力があるのだろう?


「折原さんは、トラ子がただかわいそうで世話をしてたんじゃないもんね。大切な友達だから……心配だよね」

「え……」


その通りだった。孤独に学校生活を送る私は、母親とはぐれて独りで生きているトラ子を、どこか同士のように、相棒のように思っていたのだ。

ーーだけど、なんで。


「どうして、わかるの?」


なぜ中井くんは、私のトラ子に対する思いを、見抜いているのだろう。

すると中井くんは、ひどく優しく笑った。その微笑みがあまりに心に染みて、私はドキドキしてしまう。