何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「ト、トラ子がっ。ひどい怪我、しててっ!」

『 えっ!?』

「血もいっぱい出てるし、あ、足の骨も見えてるのっ。ねえ、どうしたらいいのっ!? トラ子、し、死んじゃうの!?」


死、という単語を口にした瞬間、涙がこぼれ落ちてきた。トラ子が死んでしまう。

高校に入学してから、1人っきりだった時間の長かった私の友達が。心の支えが。


『 落ち着いて、折原さん』


するとスマートフォンごしに聞こえてきたのは、穏やかだけど、どこか力強さを感じられるような、中井くんの声音。

動揺してふらふらしている私を、まるで支えてくれているかのようだった。


『公園の近くに病院があるんだ。まずはそこに連れて行って。できる? 』

「え……う、うん!」

『 トラ子を連れていく時は、そっと抱っこしてね。病院の詳しい場所は、メッセージで送るよ』


そっか。とりあえず動物も怪我をしたら病院だよね。こんなところで慌てていてもなんの意味もない。

中井くんの穏やかな声を聞いているうちに、私は幾分か落ち着きを取り戻して行った。


『 俺も今からすぐに向かうから。病院で待っててくれる?』

「う、うん! わかった!」


ーー来てくれる。よかった。私は心から安堵した。病院へ行くとはいえ、トラ子の安否を1人っきりで気遣うのは、心底不安だったから。

そして私は、弱々しく鳴くトラ子を、そーっとそーっと恐る恐る抱っこした。あまり痛がらなかったので、ほっとした。

そのまま私の腕の中で荒く呼吸をするトラ子を、私は気遣いながら早足で動物病院へと運んだ。