何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

だから、この前教えてもらった卵焼きだけ、近頃は毎朝自分で作っているのだけれど。

外側は少し焦げてしまっているし、形も歪だ。ほかの完璧なおかず達に比べて、なんとも残念な仕上がりのの卵焼き。

まあ、味は悪くないと思う。お母さんに教えたもらった調味料の分量を守っているからね。

今度、火加減とかきれいに作るコツとか、ちゃんとお母さんに教えてもらおうっと。


「そうなんだ。でも偉いじゃん、少しでも朝から自分でやってて」

「そうかなあ」

「私なんて自分でお弁当作るなんて考えもしないよー。マイマザーも料理アレだしさ。毎回購買のパンかコンビニだよお」


なんてことを、詩織と加奈ちゃんと二人で話していると。


「へー。弁当、うまそうじゃん」


すると、背後からいきなり男の子の声が聞こえてきたので、私は驚愕してびくりとした。しかも、その声がーー。

最近一挙一動が気になってしょうがない、中井くんの声だったから。


「な、中井くん」

「食欲そそられんねー」


中井くんが私のお弁当の中身をじっと見ながら、羨ましそうに言う。