何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

周りから見たら、そんなに気になることなのかな?


「ーーふーん。なるほど、ね」


渉くんと実くんが歩いていった方を、遠い目で見据えながら言う中井くん。

渉くんが私を呼び捨てにすることに、特別な意味なんてないと思ってくれたのだろうか。まあ実際、他意なんてないと思うけど。


「ーーまずいな。早くなんとかしないと」

「……?」


次に中井くんが呟いた言葉の意味が、まったく分からなかった。思わず彼の顔を見ると、微笑んでこそいたけれど、どこか自嘲的な笑みに見えた。


「どういう意味……?」

「全然。なんてもないっす」


私が尋ねると、中井くんの笑みから後ろ向きな要素が一瞬で消える。ーーいや、元々なかったのかもしれない。私の見間違いかな。

中井くんの呟いた言葉の意味が少し気になったけれど、足元にトラ子がすり寄ってきて、構っているうちに私はつい失念してしまった。