何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

私もしおりをじっと見ていた。小さなカスミソウの花が、きれいにプレスされていて、とてもキュートだ。


「ーー嬉しい。ほんとに。すごく。家宝にしたいレベルだよ」

「そんな大袈裟だなあ、桜は。別に作るのは簡単だし、いくらでもあげるよ! 詩織だけにしおりをね」

「あはは」


詩織のはなった冗談に笑う私だったが、本当に心から嬉しかった。高校に入って、初めて友達にプレゼントされたもの。しかも、私の趣味に合わせて。

ーー大袈裟なんかじゃないんだよ。大事にするよ。本当にありがとう。

私は心の中で、詩織に対して深くお礼を言う。

ーー加奈ちゃんとは、好きな本の話をして、詩織とは綺麗な花の手入れをする。そんな毎日。

面倒だった高校生活が、毎日充実したものになってきていた。