何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

安田くんが、私を疑ったことを気にしてしまうのがなんだか嫌で、軽い口調で言った。


「……なんか折原さんって全然イメージと違うなあ」

「ってか、めっちゃいい人じゃね?」

「誰だよ、女番長とか言い出したやつ」


すると、何故かみんなが口々に私を受け入れてくれるようなことを言う。ーーえ、なんでだろう、急に。


「折原さん……! ありがとう!」


そして安田くんは、感激した様子でそう言った。私は少し首をかしげながらも、「う、うん」と頷く。

詩織とは偶然目が合い、ウィンクをされた。よかったね、と言われている気がした。


「ーーね、少し話せばさ。大丈夫だったでしょ」


すると中井くんは、少し得意げに言った。


『ちょっと話せば、絶対すぐ仲良くなれると思うんだけどなー』


数日前に彼に言われたことを思い出す。

ーー本当だ。自分でもびっくりするくらい、大丈夫だった。

よく考えたら、私だって野良猫の面倒を見ているという人を見たら、その人に大していい印象しか抱かないかも。見た目が例えどうであれ。

クラスで孤立している期間が長かったせいで、周囲を疑いすぎていたのかもしれない。


「ーーほんと。びっくりするくらい、大丈夫だった」


私は破顔した。中井くんは、何故か嬉しそうに「うん、うん」と数回頷いた。

その後、さっきまで疑っていたことをクラスみんなに謝られて、私は恐縮してしまった。本当に気にしていないから、そちらも気にしないで欲しいんだけどな。

そしてそのあと、クラスメイトのみんなが私によそよそしい態度を取らなくなり、気軽に話しかけてくれるようになったことが、何よりも嬉しかった。