何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

必死に隠していた事実をあっさりと暴露する中井くんに、私の方が叫んでしまった。


「ちょ、ちょっと! なんで言うの!」

「あーやっぱり。でもなんで隠すん? 別にいいじゃん」


きょとんとした顔をする中井くん。


「いや……そりゃ……なんだか、笑われそうな気がして……」

「え? なんで? 折原さんが野良猫を放っておけなくて、毎日無けなしの小遣いはたいてご飯あげてることが? なんで笑いの対象になるの?」

「ちょっとお!」


さらに詳しく説明されて、私は非難の眼差しを彼に向ける。

ーーああ。もう終わった。猫にしか相手にされない寂しいやつだと、みんなに思われてしまっただろう。

しかし、周囲は思ってもみない反応をした。


「へー、折原さんってそういう人なんだ。ちょっと意外」

「猫の世話するなんて、優しいんだね。もっと怖い人かと思ってたー」

「中井くんが違うって言うんなら、本当に犯人じゃないんじゃない?」


みんなの私に対する不信感が、一瞬で払拭させられてしまった。あっさりと状況が変わってしまったことに、私は目をぱちくりとさせてしまう。


「ほら、もうここまでバレたらいいでしょ。リュックの中みんなに見せたら? あ、他に見られたくない物あった?」

「ーーもう見られたくないものなんて、ないよ。分かった、見せるよ」