何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「ーーやっぱり、折原さんなの?」

「リュックの中見せてくれないなら、そうなんじゃ……」


そんな声が聞こえてきて、泣きそうになる。視界の隅に、詩織の顔が見えた。

詩織は、どこか怯えたように私を見ている。私を疑っているのだろうか。まあ、こんな状況なら仕方がないかもしれない。

ーーと、思った矢先だった。


「ぜ……絶対違うからっ!」


詩織が叫んだ。お腹の底から絶叫する様な声で、ざわざわと話していたクラスメイト達が、一瞬にして黙る。


「桜は……そんなことしないし! いつも花壇の作業、手伝ってくれるんだから! 盗みなんてするわけないって!」


興奮した様子で詩織が叫び続けた。先程の怯えたような表情は、勇気を振り絞っていた時の顔だったんだ。

私が圧倒的に疑わしい状況にも関わらず、そんなふうに思ってくれたことは、涙が出るほど嬉しかった。

ーーしかし。


「でも、じゃあなんでリュックの中身見せてくれないんだよ」


安田くんが、怒気のはらんだ声で言う。もう完全に私を犯人だと思ってるらしく、怒りのまなこを私に向けながら。


「見せろよ、盗んでないなら」