何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「牛乳もダメなんだよ。下痢をしちゃうかもしれないから」

「ええ!? そうなんだ……どうしよう、今まであげてた……」


喜んで飲むから、よく与えてしまっていた。今まで私の知らないところ、トラ子は下痢をしていたのかな?


「あ、それならこの猫は牛乳に耐性がある猫なのかも」

「耐性?」

「人間でもいるでしょ、牛乳飲むとお腹下しちゃう人。猫も一緒で、平気な子と大丈夫な子がいるらしいよ」

「へえ……」

「まあ、それでも多くはあげないほうがいいかなー」


ご飯を食べ終わったトラ子の喉を撫でる中井くん。トラ子は気持ちよさそうに目を細め、喉をゴロゴロと鳴らし始めた。

扱いになれている様子だった。猫のことも、詳しいし。

そしてなぜかよく分からないけれど、教室よりも中井くんとは自然体で会話をすることが出来た。私を怖がっている人間がここには存在しないからかもしれない。


「詳しいんだね。猫のこと」

「昔飼ってたからねー。死んじゃったけど」

「そ、そうだったんだ。ごめん」

「いや、すごく前の話だし、別にいいけど。まあ、そんなわけで猫は好きなんだ」