それから数週間して、悠は長く深い眠りについた。

私は詩織にプリザーブドフラワーの作り方を教わり、毎日小さな花を少しずつ悠の病室に届けた。

中井家には頻繁にトラ子を見せてもらいに行き、その際は毎回写真を撮影した。

その写真は、眠った悠に話しかけながら見せ、悠のベッドの傍らに置いてあるアルバムに入れて行った。

ーー眠りの魔法にかかってしまった悠。美しいひなげしの、残酷な魔法に。

だけど私は、ひなげしの魔法が解けるまで、あなたに花を届け続ける。