何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




学校を出てから、トラ子のいる公園へと真っ直ぐに向かう。

横田さんの手伝いをしたため、いつもより遅くなってしまった。トラ子、お腹すかせてないかな。


「トラ子ー!」


どうやら木登りをしていたらしい。名前を呼ぶと、近くの木の上からガサガサと音がしたかと思うと、幹沿いに華麗な動作でトラ子は降りてきた。

そしていつもと同じように、紙皿にご飯を乗せる。今さっきコンビニで買ってきたチーズと、家から持ってきたツナ缶だ。

うにゃうにゃ言いながら食べるトラ子。やけにかわいらしくて、私はしゃがんで背中を撫でる。トラ子はお構い無しに、ご飯にがっついていた。


「あれ、あんた大きくなったね」


毎日見ていたからあまり気づかなかった。4月は手の平に乗れるくらい小さかったのに、今は片手で持ち上げるのは少し難しいだろう。


「元気に成長しているみたいでよかったよ」


猫からの返事はない。まあ、そりゃそうだ。だって猫なんだし。

だけど、4月にぼっちが確定した私と、母猫とはぐれてしまったトラ子は、同士に近い気がしていて。友人……というか、戦友というか。

だからトラ子の成長は、自分の事のように嬉しいのだ。


「人間用のツナ缶は塩分が濃いからやめたほうがいいよ。チーズもね」

「ひぇっ!?」