何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。



その後しばらくの間は、私は悠と直接会うことはせず、ナースステーションの看護師さんに托す形で彼に花を送り続けた。

あれだけはっきりと拒絶されたのだ。もしかしたら、渡した花は捨てられているかもしれない。

だけど、看護師さんから悠が拒否しているという話はなかったので、私は一縷の望みをかけてプリザーブドフラワーを毎日持ってきた。

それに悠は、罪のないきれいな花を捨てられるような人じゃない。ーー私のことは嫌いになったとしても。

そして、看護師さんに花を渡したあとは、私は渉くんと実くんと一緒に過ごした。

病院の中庭で鬼ごっこをしたり、ラウンジでお絵描きをしたり。

無邪気に微笑む実くん。それを微笑ましそうに見守る渉くん。

3人で過ごす楽しく朗らかな時間は、私の身に起こっている悲痛な出来事を、忘れさせてくれるくらいに穏やかだった。

そして今日も、私は渉くんと実くんと遊んでいた。爽やかな秋晴れだったので、病院の中庭で鬼ごっこをして。


「わー! おねーちゃんはやいよぉー!」

「ふふ、私結構足には自信あるんだよー!
ほらー、もう捕まえちゃうよーっ」


私から逃げる実くんを笑いながら追いかける。まあ、すぐに捕まえないように多少手加減しているけれど。

そう、私は運動神経はそれなりによかったりする。特に足の速さは、小学生の頃は毎年リレーの選手に選ばれるほどの、折り紙付き。