何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「え、どうしてわかったの?」


悠と渉くんは、以前に1度公園で会って、二言三言交わしただけだったので、私は悠が具体的に誰なのかの説明は省いていた。覚えていないと思ったし。

しかし、本当になぜ分かったのだろう?


「いや、なんとなく。ーーやっぱりな、って感じだけど」

「なんで……?」

「別に、気にするな」


少し気になったけれど、私にとって大した問題じゃないので、渉くんに言われた通り気にしないことにした。


「しかし……お互い大変だな。記憶喪失に、眠り病か……。」


記憶が無いとはいえ、私は悠と交流できるだけまだ救いがあるのかもしれない。拒絶されてしまったけれど。

渉くんも実くんも、お母さんとは会話することすらできないのだから。少なくとも5年以上は。

と思ったけれど、こういった辛さは比較するような事柄ではないので、私はそっと胸にしまい込んだ。


「ーーそうだね」

「…………。俺と実は、母親の見舞いが終わったこの時間、毎日ラウンジに来ることにする。何か困ったことがあったら相談してくれよ」


渉くんは、私をじっと見つめて静かに、しかしはっきりとそう言ってくれた。

ーーそれが、今の脆弱な私にとっては、心強くて、頼もしくて。


「うん……! 私も毎日来るっ……。だから渉くんも、何かあったら私に言って!」


嬉し泣きしてしまうのを堪えながら、私が笑顔でそう言うと、渉くんも口元を笑みの形にして、頷いた。

その後、実くんの遊びに少しだけ私たちは付き合い、「また明日ね」と言って別れた。