何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

渉くんと実くんのお母さんは、3ヶ月前に突然発症し、それ以来ずっと眠り続けているそうだ。

ーー私が悠と一緒に公園でトラ子の世話をしている時に、2人と鉢合わせたことがあった。

その時に渉くんは「母親が入院したりして忙しい」と言っていた気がする。

あれは確か3ヶ月ほど前だったと思う。ということは、あの頃お母さんは眠ってしまったのか。


「5年も……? 眠ったままなの……?」


なんて恐ろしい病なのだろう。そんなにも長い間、一度も起きずに眠り続けてしまうなんて。

残された家族の寂しさを想像するだけで、やるせなく悲しい気持ちになってしまう。


「最低でも5年。現時点のひなげし病の患者の中で、最長は7年と2ヶ月。起きずに死亡してしまうケースは、5パーセントくらいなんだって。ーー母さんは、あと5年弱は眠ってしまうことになる。もっと長くなる可能性もあるし……最悪の結果になることだって、考えられる」

「そんな……」


言葉に詰まる私。無邪気に微笑んで、ブロックをくっつけている実くんの姿が見える。胸がキュッと締め付けられた。


「ーー俺はとにかく起きてくれればいいと思っているんだ。何年かかっても。死ぬ確率は少ないし、いつか元の母さんが戻ってくれるんなら、それでいいって。まあ、こんな風に吹っ切るのにも、相当時間はかかったけどな」