何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

絶望的な考えが過り、私はぷるぷると首を横に振る。

そんなわけない。いつか記憶は戻るはず。病院の先生だって、そう言っているんだし。

それに記憶が戻らなかったとしても、悠は退院して学校に戻ってくるはずだ。私の隣の席に。

そうすれば、事態は少しは変わるはず。良い方向になるか、悪い方向になるかは、わからないけれど。

そう、悠はそのうち退院を……って、あれ? そういえば。

悠って、足を軽く骨折しただけだよね? それなのに、3週間も入院するものなの? それにまだ退院する目処がたったという話も聞かないし。

うーん。私自身交通事故に遭ったことはないから、よくわからないな。そういうものなのかな?

などと、私が悠の入院期間について考えていたら。


「え! ぼくここであそんでいいの!? やったあ! ブロックあるー!」


甲高い男の子の声が聞こえてきた。カフェテリアに併設されている、幼児が遊ぶ用のプレイルームの方からだ。

プレイルームには、組み立てるブロックやぬいぐるみ、絵本などの小さな子が喜びそうな物が置いてあったはず。

お見舞い客の子供や、入院中の子供が遊ぶ場所らしいけれど。

ーーもしかして。あの声って。

プレイルームの方を見ると、そこには案の定、楽しそうに遊び始めた実くんと、彼の傍らに立つ渉くんの姿があった。