何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「花、綺麗だね」


手入れのがよく行き届いていて、整然と並んだ花達は、楽しそうに咲き乱れているように見えた。

すると横田さんは、とても嬉しそうに微笑んだ。


「ほんと!? 嬉しい! 私園芸部なんだけど、私の他の部員は帰宅部だと思って入ってる人が多くてさー。一人でここまで育てるの、大変だったよー」

「一人でやってるの? すごい……」


率直にそう思った。花壇は3メートル四方くらいはあって、結構広い。しかしスペースを無駄にすることなく、様々な種類の花が美しく咲いているのだ。


「えへへ、頑張りました」

「あの紫の花は、なんて言うの?」

「あ、あれはアガパンサスって言うの。結婚式のブーケとかにもよく使われる花なの。綺麗だよね!」

「へえ……」

「花言葉は、恋の訪れとかラブレターとかで。可愛らしい花なんだよ。紫の他に、白とかピンクもあるけど、紫が一番綺麗かなあ。今度ドライフラーして飾りたいと思ってるんだ」


すごく饒舌に花について語り出すので、私は目をぱちくりさせてしまった。

すると横田さんははっとしたような顔をすると、恐る恐る私にこう尋ねた。


「ーーご、ごめん。こんな話つまんないよね。花の話なんて誰も聞いてくれないから、つい……」


私は慌てて首を横に振る。


「ううん、ちょっとびっくりしただけ。つまんなくないよ。花、好きだから」