何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




悠の入院している病院はわりと大きなところなので、ナースステーションには看護師がいつも何人か常駐していた。

私はナースステーションのカウンター越しに、看護師さんに小さなプリザーブドフラワーを渡した。


「はい、305号室の中井悠さん宛てですね。ちゃんと渡しておきますね」


看護師さんが笑顔で受け取ってくれたので、私はほっと安堵し、「よろしくお願いします」と言って会釈する。

ーー昨日、悠に拒絶されてしまったけれど。

このまま、はいそうですかと引き下がるわけにはいかない。

私が悠を好きな気持ちは、そう簡単には消えてくれないのだ。

ーーというか、いきなり吹っ切れるほどの思い切りのよさなんて、私は持っていない。

だけど、さすがに昨日の今日で面と向かって会う勇気はなかったので、私はお見舞いの品を看護師さんに託す、という形を取ったのだった。

ーー嫌がられるかもしれないけど。迷惑かもしれないけれど。

それでも私はまだ、悠との間にあったはずの絆を信じたかったんだ。

ナースステーションで用事を済ませると、私は辺りを見回した。しかし、目的の人物の姿はなくて、落胆する。

目的の人物ーーそれは、渉くんと実くんだ。