何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「そうか、よかった」くらいで終わるかと思っていたのに、渉くんが突っ込んできたので、私は戸惑う。

思わず渉くんの顔を見ると、彼は少し困ったように眉をひそめていた。

ーー彼は私が空元気だということに気づいているのだろうか。


「なあ、何か困ってるんなら俺に言えよ」


そして、私をじっと見て渉くんが言う。ぶっきらぼうな言葉遣いなのに、そこには大きな優しさが内包されているのを感じた。

ーー言って、いいの? 私……渉くんにこのやるせない気持ちを、打ち明けてもいいの……?


「私……」


だけど、私が事情を話そうとしたその時だった。


「鹿島さーん! お母さんの検査終わりましたよー!」


病棟の入口から、そんな声が聞こえたきた。見ると、私たちの方へ向かって大きく手を振る看護師さんが立っていた。


「ーー母さんのとこ、行かなきゃ。実ー!」


ベンチから立ち上がる渉くん。名前を呼ばれた実くんも、こちらへと駆け寄ってくる。どうやら「鹿島」という姓は、渉くんと実くんのものだったようだ。