何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

私が助けに行ったところで、拒絶されるんじゃないかと一瞬思ったけれど、彼女が怪我をするよりはマシだろう。

私は彼女のそばに駆け寄った。


「……持つよ」

「ーーえっ!? あ……う、うん。助かる」


いきなり現れた私に彼女は一瞬驚いた様子だったが、やはり大変だったようで、笑顔でそう言った。

私は彼女が持っている荷物ーー園芸用の肥料や土だったーーを、上から半分取る。


「……花壇まで運べばいいのかな」

「うん、助かります」


一緒に花壇まで運び終えると、彼女は「はぁー、大変だった」と言ってから、私に向かって微笑んだ。


「ありがとう! 本当に助かったー。……折原さん、だよね」


よく見たら、同じクラスの女子だった。セミロングの艶やかな黒髪に、小さい鼻と口、丸い瞳がキュートな顔立ち。名前はえーと、確か……。


「いや、横田さん転びそうだったから」


私がそう言うと、「ちょっとずつ運べばよかったのに、面倒で一気に持ってきちゃったのがまずかったねー」と、にこやかに彼女は言った。よかった、名前合っていたみたい。

横田さんも普段は私のことをびびっているのかもしれない。でも、私に助けられた直後だからか、そんな雰囲気はなかった。

それ以上何を言ったらいいかわからず、私は目に入った花壇を見て、とりあえず感想を言った。