何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。





放課後、私はよく図書室に行く。

少し読むだけで、別の世界に行ける本を読むのは好きだった。

見た目が派手だから、図書室に行くとぎょっとするような顔をされることもあるけど、まあそれはもう慣れた。

何冊か小説を借りてから、図書室を出て下駄箱へと向かった。靴をはこうとすると、ポケットのスマートフォンが震えたので、私は急いで手に取る。

私に連絡をしてくる人間なんてあんまりいない。残念なことに。

だからスマートフォンが反応する度に、私はトラ子の里親に応募が来た通知なのかと、期待してしまうのだ。

しかし、結果は昔登録した店のメルマガだった。私は落胆する。

念の為、登録した里親募集サイトの様子を見てみたけど、やっぱり希望者はいない。

ーーはあ。早くいい人に貰われてくれないかなあ。

そんなことを考えながら、校舎を出て花壇の脇を通る。花壇には、マリーゴールドや名前を知らない紫の花が、咲き乱れていた。

ここの花壇、いつもよく手入れされているよなあ。先生がやっているのかな。

すると、少し離れたところで両手で大きな何かを抱え、フラフラと歩くジャージ姿の女子が見えた。

荷物のせいで顔は見えないが、小柄な彼女にしては多すぎる荷物。覚束無い足元は、今にも転んでしまいそうだ。

危ないな。