何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

彼の変化に、一同全員が私をちらっと見たあと、逃げるようにその場からそそくさと離れた。


「ーーあぶね。怒りのオーラやばい。怖すぎ」

「殺気ハンパねぇわ」


そんな話を小声でしながら。私に聞こえないと思っているのかもしれないけど、残念ながら筒抜けだ。

ーー別に怒ってないし。殺気ってなんなの、もう。

やっぱり目つき悪いし、見た目が見た目だからだろう、な……。

悲しくなりながらも、私は何も言えずに席に着く。ーーすると。


「折原さん、別に怖くないよー!」


いつも遅刻寸前に登校してくるのに、珍しく私より早く来ていた中井くんが、去った男子達に聞こえるように大声で言った。

すると男子達は気まずそうに笑う。


「な、なんだよー、悠」

「別に怖がってないし、俺たち」

「えー、でも「殺気」とか「怖すぎ」言ってたじゃーん?」


必死に否定する彼らに、中井くんは無邪気に尋ねる。


「そ、それはゲームの話だから」

「そうだよ。折原さんが怖いとか、言ってないから」

「ーーふーん。ま、それならいいけどさ」