何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




朝学校へ行くと、私の席の付近で、クラスの男子がたむろっていた。


「いや、マジ当てるとは思わなかったわ。俺課金してないのにさ」

「えー、くっそ羨ましいわー。俺小遣い全部つぎ込んだのに出なかったぜ」

「なになに? 何が当たったの?」

「安田が昨日、Sレア出したんだってさー」

「えー! マジかよ! いいなー」



もちろん私に用がある……とかそういうわけではなく。

会話の内容は男子達の間ではやっているソーシャルゲームのようだ。たまたま私の席の近くで数人が話を始めたら、盛り上がって人が集まった、という経緯だろう。

別にゲームの話をするのは構わないが、このままでは席につけない。ーー困ったなあ。

でも、なんて言えばいいのかな。「どいて」なんて言ったら感じ悪いよね。

「ちょっとごめんねー」なんて、笑顔で言えたらいいんだけど、まったく話したことのない彼らに、笑顔でそんなことを言う勇気なんてない。

と、私が彼らの近くで無言で佇んでいると。


「いやー。これで詰んでたクエストクリアできそうだわ!」

「はは。……ん、あ、おい」


男子のうちの一人が、傍らに立つ私の存在に気づいたようだった。私を見て、はっとしたような顔をしたと思ったら、表情を固める。