何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

そんな葛藤をしながらも、「今の、おっきかったね」なんて、当たり障りのない花火の感想を言いながら、私が夜空を眺めていると。


「ーー折原さん」

「え……?」


突然、真剣な声音で名前を呼ばれた。何か咎められるのかと思い、私はびくりとしてしまう。

ーーだけど、それはまったくの想定外のことだった。


「ちょっと左手、出してくれる?」

「え……う、うん」


言われるがまま、私はおすおずと彼に向かって左手を差し出した。

すると彼は、持っていた小さな包みから何かを取り出してーー。

そして私の左手の薬指に、それをはめたのだった。


「これ……!?」


薬指に装着されたそれに、私は驚きの声を漏らした。それがあまりにも信じられない物で、目を疑ってしまう。


「ん、さっき買ってきちゃった」


軽い口調で中井くんが言った。

中井くんが私につけてくれたものーーそれは。

私が先程で店で見つけて、かわいいと思ったけれど、自分には似合わないのではないかと感じ、買うのを諦めてしまったもの。