何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「折原さん、まず何食べたいー? たこ焼きとかどう?」

「ーーうん、食べる」


中井くんが渡してくれたたこ焼きの包みは、とっても温かく、熱い程だった。

彼の手元を見ると、焼きそばや大判焼き、フライドポテトなど、おいしそうな出店の料理がたくさんあった。

ーー優しい中井くん。急に私の態度は変わってしまったというのに。


「あ! 始まった、花火」


中井くんの声の直後に、夜空に大輪の花が咲いた。私たちがいる石段は、花火見物には特等席だった。正面を見上げるだけで、上がった花火の全体がきれいに見られる。


「すごい……! きれい……!」


鮮やかに光ったかと思うと、儚く散り散りになっていく花火に、私は感嘆の声を上げる。

あまりに美しく、眩い閃光に、一瞬心に感じていたわだかまりも忘れて、私は見とれた。


「ほんと、めっちゃきれいだなー」


そう言った中井くんの横顔は、点滅する花火の光で、時折明るく映し出された。ーー整った横顔は、相変わらず無邪気に笑っていた。

どうしてこんなに優しくしてくれるのに、わたしはつまんないことでうじうじしてしまうのだろう。

そう思うけど、どうしても暗い気持ちは吹っ切れてくれない。