何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

「え、あ……」

「じゃ、行ってくるから。ここで待っててくださいな」


そう言うと、中井くんはすたすたと歩いて去ってしまった。

一人取り残さられる私。急に、ひどく不安になってくる。

中井くん、私がちゃんと返事をする前に行っちゃった。もしかして、私の態度に怒ってるのかな。

ーーよく考えたら、急にわけのわからないことで不機嫌になって、だんまりになってしまった私だ。

中井くんにとってはわけがわからないだろう。怒っても、しょうがないんじゃない?

そう気づいた瞬間、私は泣きそうになる。もう嫌われてしまったような気すらした。

そして泣くのを我慢して待っていると、中井くんが戻ってきた。両手に食べ物が入っているらしき袋をたくさん抱えて。


「お待たせー! とりあえずいっぱい買ってきたよん。花火もう始まっちゃうなあ。石段に座って食べてよっかー」


明るい中井くんの声。怒っているのでは、と思い込んでいた私は、心底安堵した。出かけていた涙も引っ込む。


「ーーうん」


彼が座った石段の隣に、私は腰を下ろした。安心はしたけれど、心のモヤモヤはまだ消えない。

自分がなんで落ち込んでしまったのかを言わなきゃならないのに。余計なプライドのせいで、それができない。