何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




花火がもうすぐ始まる時間となった。私達は出店が並んでいた場所から少し離れた、神社の前に来ていた。

神社は、数分登った石段の上にあった。高い場所なので、花火が綺麗に見えるらしい。私たち以外にも、花火を見るために集まった人達が何組かいた。


「足元、気を付けてね」


中井くんは私を気遣ってそう言った。

神社の前は砂利が転がっていて、私は何度も足を取られそうになっていた。慣れない下駄を履いているせいもある。

ーー彼は、私の態度があからさまに変わったあとも、変わらず優しかった。

何かは思っているようだったけれど。

彼にとってはわけのわからないことで、不機嫌になる女の子なんて、面倒くさいと実は思っているかもしれない。

必死にいつも通り振る舞わなきゃ、と思うのに、心の中のモヤモヤとした想いはどうしても消えなくて。私はいつものように彼との時間を楽しめなかった。

中井くんには、分かってもらわなきゃいけないのに。だけどやっぱり、彼のような人気者に、今の私の胸の内を言うなんて、惨めでできなかった。


「あ、俺なんか食べ物買ってくるよー」

「ーーえ」


暗い顔をしている私だったが、中井くんは屈託ない笑みを浮かべてそう言った。


「なんか食べながら見た方が、楽しいじゃん。そういえば俺たち、祭りに来てからわたあめしか食べてないし」