何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。




中井くんが、おもちゃの銃を構え、ターゲットに狙いを定めるために片目を閉じる。

その横顔はとても真剣そうに見えて、浴衣効果も相まってか、やっぱりかっこいいなあと私は思ってしまう。

それにしても、お祭りの射撃って簡単に景品が取れそうに見えるけど、どうして実際やって見るとなかなかゲットできないのだろう。

きっと、店主の配置の仕方が絶妙なのだろう。景品に簡単に玉が当たりそうに見えるけど、実際にはそんなことはない……きっと、そんな風にしているのだ。


「次はぜってー当てて落とす」


中井くんが決意を呟いた。彼が3回目の射撃に挑戦してるのは、私が「あ、あれトラ子みたいでかわいい」と指さした、猫のぬいぐるみ。

一度失敗した時に「ありがとう、残念だったねー」と言った私だったけど、中井くんは「絶対取るから見てて!」と、威勢よく言った。

ーー嬉しかった。私のために、挑んでくれていて。

でもお金をたくさん使わせるのは悪い気がしたし、次無理だったら諦めてもらおう。

中井くんが引き金にかけた指に力を入れ始めた。三度目の正直、なるか。

ーーすると。

パアンという音がなった直後、ぬいぐるみがぐらついた。そしてその場でゆらゆらと何度か揺れた後ーー。

景品の棚から、地面へと落下したのだった。