何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

少し噛んでしまったけど、ちゃんと言えた。中井くんをかっこいいと思っていることを。恥ずかしかったけれど、言えた。

すると中井くんは、瞳を輝かせる。


「え!? マジかー! これ、今日のために買いに行ったんだけどさー、着てきてよかったわー!」


私の言葉に、素直に喜びを表してくれる中井くん。

ーーああ。やっぱり好きだな。

改めてそう感じたけれど、それ以上に深く温かい思いがお腹に生まれたような気がした。

なんだろう。愛しいって言うのかな、これ。

生まれて初めて男の子に対して抱いたその感情の正体ははっきりとはわからなかったけれど、私はとりあえずそれを「愛しい」と思うことにした。


「じゃ、行こうか」


中井くんはさり気なくすっと片手を差し出した。私は、ゆっくりと自分の片手を出し、彼の手のひらを握る。

私より、ふた周りくらい大きいけれど、細く長い指の生えた綺麗な手のひら。

ーーなんてあったかいんだろう。


「うんっ……!」


私が弾んだ声で返事をすると、私たちは手を繋いだまま、お祭りの会場へと向かったのだった。