何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

だけど、お父さんとお母さんが写っている写真は、どれも漏れなく2人は幸せそうに笑っていて。

2人が心から愛し合っていたのが、写真を見ただけで伝わってくるのだった。

最愛の人を失った経験のあるお母さん言葉は、私の胸の奥の奥まで、深く響いた。


「ーーうん。そうだね。自分のこと、ちゃんと言わなきゃね。私、大事な人にはちゃんと言うよ」


私が頷きながらそう言うと、お母さんは笑みを濃く刻んだ。

そしてお母さんは、お下がりの下駄と桜柄の巾着も用意してくれ、私を笑顔でお祭りへと送り出してくれた。