セナカアワセ

「えっ!?!?」




予想外の言葉に私は口が塞がらない。




「いや、那美香全然気づいてくれないから、もう言おうと思って!!正直に、返事、聞かせて欲しい。」




そう言われて、私をまっすぐ見つめる。



やっと、今、栞里の言葉の意味が分かった。




強い意志。




素直に嬉しい。




陸がそう思ってくれたこと。




「ありがとう、陸。そう思ってくれて。でも、私他に好きな人がいるんだ。だから、ごめんなさい。陸とは付き合えない。」




「、、、、、、、、、そっか。はっきり言ってくれて逆にスッキリしたわ!!」




そう言って笑う陸。



「ううん。無理に笑わせて、ごめん。」



「うん。最後にさ、抱きしめていいか?ケジメっていうか。」




照れたように頭を掻きながら言う。




へー、陸ってこんな顔するんだな。




「うん、分かった。」




そう言うと、私のことを優しく抱きしめた。




トクン、トクン、と陸の音が聞こえる。




抱きしめる腕が優しくて、ちょっと落ち着く。



「ありがとう。よし!!これで明日からまたいつも通りな!!離れたら、いつも通り友達としてよろしくな。」




「うん!!分かった!!気まずくなんてならないよ!!」





そう言った後だったか、前だったか。





陸の腕の中で、2階の階段から私達を見つめる、遙人の姿が。