セナカアワセ

私はスマホを手に取って電話をかけた。




「はい、もしもし?」




「栞里っ!?今どこ!?」




「那美佳!?えっと、家だけど、、、」




「今から行くから!!」




それだけ言って電話を切った。




電話の向こうでは驚いた声が聞こえた。




駅に猛ダッシュで走ると、電車に乗り込んで、栞里の家に向かう。




向かう間、私の鼓動が鳴り続ける。




怖い




と思うと同時にどこかスッキリしていた自分がいた。



心のもやもやが無くなったら、どんなに楽か。




色んな思いを抱えたまま、栞里の家のインターホンを押した。




「那美佳っ!どうしたの急に。」




「へへっ!ちょっと、話したいことがあって。」




私が笑って言うと、さらにびっくりした顔で自分の部屋まで案内してくれた。




前に何回か来たことがある栞里の部屋。




私は近くにあったクッションを抱えて、栞里の向かい側に座った。




「それで、どうしたの?」



「うん、、、、栞里に聞いてもらいたいことがあって。言ったら、笑われるかもしれないし、怖いけど、、、、栞里に言ってみようと思ったの。」




私がそう言うと、栞里は真剣な顔で、でも優しそうな笑顔でなんでも言ってと言ってくれた。



「私の中学校時代の話なんだ。私のトラウマ。そして、言ってなかった私の趣味。」