セナカアワセ

話終えると、先生はうーーーーん、と悩み始める。




そして、なにか思いついたように私の方を見る。




「那美佳ちゃんさ、私にその過去話してくれたよね?去年、だったかな?」



去年の冬、初めて他人に打ち明けた。



それが先生だった。



「はい。」




「なんで?」




「え?」




「なんで私には辛い過去を言えたの?」




そう聞かれて、私は少し戸惑う。




「、、、それは、先生が私の好きな事否定しなかったから。」




先生も体育祭に参加していたから、きっと私が運動出来るって知ってた。



でも、初めて先生に、古今和歌集の解説の本があるか聞いた時、



「おーー!学校一のスポーツ万能ガールが古今和歌集か!!マニアックな趣味!!いいね、そういうの。嫌いじゃない。」




そう言って、明るく笑った先生の言葉が胸に刺さった。



この人は、私の趣味を笑わない人だ。



そう思えたから、話せたんだ。



「うん。ていうことは、那美佳ちゃんの趣味を親友に話してみなよ。絶対、笑わないよ。胸に引っかかってること、話してみたら、案外解決すると思うよ。」