流れ出す涙と、声にならない嗚咽だけ、コートに溢れ出す。



涙が止まってからも、ぼーっとコートに座っていた。




何分くらい経ったのか、後ろから誰かが近づく足音が聞こえた。



会長かな?




「、、、、、、、、、、遙人。大丈夫?」




息を切らしているのか、震える声で聞く那美佳。



那美佳に背を向けたままだった、俺の前にしゃがみ込んだ。



「、、、、、、冷たい。」




「、、、、、、ごめん。」




「走ってきたの?」



「うん。遙人が泣いてるかもって思って。」




今までで1番ぎこちない会話。



会長から話を聞いたと言う那美佳。



那美佳は、



俺のせいじゃないと言った。



由果が事故にあったのは遙人のせいじゃない、と。




それは、




当事者じゃないから言えること。




気づいたら、那美佳に怒鳴っていた。



「俺が!!!俺があの時呼び出したのが駄目だった!!!逃げた由果をもっと早く捕まえていれば良かった!!!」



那美佳に怒鳴るのは違うと思っていても、もう止まらなかった。



どこに行くの!!と、伸ばしてきた手を振り払った。



那美佳が傷ついた顔をした。




今にも泣きだしそうで、目には涙が溜まっている。



そんな那美佳を見ているのに、次に俺の口から出た言葉は、




「どこでもいいだろ!!、、、那美佳だって、良かったじゃん。ずっと俺の弱み探してただろ。お前の秘密なんてどうでもいい。今はもう!!、、、1人にして。」



そう言って逃げた俺は、



世界一最悪な男だろう。



しかも、自分が好きな人に。