セナカアワセ

イルミネーションを見に行った時、あまりの光の輝きに目が奪われた。



左手から伝わってくる温もりと、優しい声。




由果と付き合っていた時、1度だけ見に行ったことがある。



その時は由果にいつ俺が違う高校に行くことを伝えるか、それだけが頭の中にあって全然周りの景色なんて見えていなかった。




こんなに綺麗なんだ。




傍に那美佳がいてくれて、俺が変わっていく。




もっと、いろんなことを話したい。



もっと、一緒にいたい。



好きという気持ちが膨らんでいく。



この気持ちをいつか、ちゃんと伝えたい。
















新年早々、会長から初詣に誘われた。



那美佳もいるって言った時点で速攻OKした。



家の前まで行くと、こないだとは違うスキニーを履いた那美佳が出てきた。



俺がいることに驚いていた。



列に並んでいると、寒そうに震える那美佳。




マフラーを巻いてやると恥ずかしそうにありがとうと言った。



巻きながら触れた那美佳の髪や首にドキドキしていたのは俺だけ。



お願いごとなんて、神様に頼んでも叶わないと思ったけど、柄にもなく、那美佳ともっと一緒にいられるように願った。



那美佳は欲張りなお願いをしたと笑っていた。



でも別に、欲張りなことが悪いとは限らない。



色んなことに興味があるのは、逆にいい事だと思うし。



そう言うと、驚いたように目を見開いていたが嬉しそうに笑った。



このまま、



いいスタートが切れると思ったんだ。










由果に会うまでは。