セナカアワセ

「それは別に、遙人が悪いんじゃない!!」



会長に向かって叫ぶと、会長は分かってるって言うように頷いた。



「そうなんだよ。俺でも鬼畜だと思った。でも、その言葉が遙人に刺さったんだろうな。行きたい高校に入学したものの、やっぱり由果ちゃんの言葉通りになってしまった。あの言葉がきっかけで、バスケ部に入っても活躍できなくなってしまった。1番期待されていただけに、それもショックだったんじゃないか。」




付き合っていた彼女に、好きな事をやめろと言われて、



期待されていたのに、過去に縛られて上手く出来なくなって、



想像したら、悔しくって、悲しくって、私の目から涙が零れる。



「そして、1年で辞めて俺のいるこの高校に転校してきた。学校で俺が久しぶりに声を掛けたら、別人みたいだった。目に力がなくて、勉強なんてしたこともなさそうなやつが急に理系なんて行って、物理やり出して。」



人が変わるってああいうことだって、会長は言った。



「多分、遙人、この先にある公園にいるよ。バスケのコートあるところ。」



そこなら私も何回か行ったことがある。



追いかけてきますって言おうとしたら、先に会長が言った。



「あいつを助けてやってくれ。俺じゃダメだったけど、お前なら、持ち前の力強さで助けられるんじゃないか?」



そう言われて、私は涙を袖で拭いた。



「私、、、、行ってきます。」



そう言うと、遙人が走っていった方向に向かって駆け出した。



初めて知る、遙人の過去。