「那美佳、これ巻いて。」



そう言って、自分のマフラーを私にぐるぐる巻いてくる遙人。



マフラーからうっすら遙人の柔軟剤の匂いと、私の首に触れる指先がくすぐったくて、顔が熱くなる。




「遙人は?寒くないの??」




動揺しているのが分からないように聞いてみる。




「隣で震えられてるほうが寒い。はい、できた。」




「ありがとう、、、あっかい!」



私がそう言うと、じゃあ那美佳はこっちあっためてって、私の手を握って遙人のコートに入れられる。




緊張で、私もうやばいよ、、、、、、



前の2人にこのやり取りが見られてないか心配だったけど、栞里達は違う話をしているみたいだった。



並んでから20分くらい経って、やっと私達の番。



何を願おうか考えたけど、



欲張りな私は、今年も幸せな毎日になりますようにと願った。



そしたら、嫌なこともいいことに変わるかなっていうちょっとずるいお願い。



神様、、、私はもう立ち直りたいんです、、、



隣をちらっと見ると真剣にお願いしている遙人の姿。



「何お願いしたの?」



「ん?秘密だよ。那美佳は?」



「私も秘密。欲張りなお願いしてしまったけど。」



「那美佳らしいじゃん。」



「それどういうこと!?」



「だって、運動も好きだし、本も好きだし。多趣味な上に勝負事には手加減なしで。負けたら勝つまでやるし。友達も沢山いて、自分の好きなことが出来て、那美佳は欲張りだよ。でも、嫌な感じのする欲張りじゃない。そこが那美佳のいい所。」



私のことをそんな風に思っていたんだと改めて知る。



自分でも欲張りだって気づいていたけど、そこが私のいいところだって言われたのは生まれて初めて。



悪いところだと思っていたから、今の言葉が嬉しかった。