そして、次が最後。



「大丈夫、大丈夫。」




独り言を呟くと、私は真っ直ぐ投げる。




「お願いっ、、、、、、あっ!!1本残ったーー!!」




でも、次で倒せば。




2回目、私が投げたボールはピンを倒すことなく流れていった。



「よっしゃ!俺がストライクだったら、俺の勝ちだなー。」



そう言って笑う遙人を横目で睨んでみる。



「よしっ。」




遙人がそう言って、深呼吸すると、




真っ直ぐ吸い込まれていくボールをじっと見つめる。



ガシャンッ



音を立てて倒れた、、、全部のピン。




「負けたーーーー!!!!」




「よっしゃーーーーー!!!!」



私と遙人の声が響く。



周りの人達が私たちを見て笑っていた。



恥ずかしくなって、こそこそと椅子に座った。



「もーーーー、ずるいーーーー。」




「何が?堂々と勝ったじゃん!」




「だって、、、まぁ確かにね。」



私がそう言うといじけんなって遙人が笑う。




その笑顔も今は憎たらしい。



ボーリング代は私が半分出すって言い張ったから、渋々割り勘にしてくれた。



外に出るともう真っ暗で、本当に熱中しすぎたんだと思った。



「それで?何がお願いなの?」



「うーーーん。今はいいこと思いつかないから、また今度使うわ。」



「はぁ、、、それを使う時まで負けたことを度々思い出さないといけないのか。」



「あははっ!!そうだなー!!まっ、見つけたら言うよ。」




「はいはい。それより、外寒くなってきたねー。人も増えてきたし。」



この近くにイルミネーションがあるからか、人が昼よりも多い。



「イルミネーションの青色の電気って綺麗だよねー。」




私がそう言うと、




「俺は普通に黄色でいいな。あったかい感じがする。」




「それは分かる。人多いけど、見ていく?」




「うん。そうだな。、、、はい。」



そう言われて差し出された手。



「人多いから、繋いでて。」



私はそっと遙人の手に自分の手を重ねた。



「これがお願いじゃないよね?」




って私が冗談で言うと、違うわ!って頭を軽く叩かれた。




繋がれた右手があったかくなる。



那美佳の手冷たいって言いながらも、遙人は私の手を離さないでいる。



それに、さっき気づいたんだけど、遙人、ずっと私の歩幅に合わせてくれてる。



思い返せば、学校の帰り道だって合わせてくれていたんだ。



身長差があるんだから、絶対歩幅違うのに。



遙人のさり気ない優しさに気づく度、私の胸がキュッとなる。



遙人がサラッと言う言葉に、私の胸がキュッとなる。



突然真剣な顔になった遙人を見ると、私の胸がキュッとなる。




なんで?




どうして、胸がキュッとなるの?




もしかして、




もしかしてなのかな?