セナカアワセ

「お昼何食べよっか。」



何か嫌いなものある?と私が聞くと、エビフライ以外なら大丈夫と遙人が答える。



「エビがアレルギーだから、食べたら熱出て倒れる。」



「そうなんだ。うーん、それでも迷うねー。」



スマホを見ながら近くになにかないか探していると、遙人が私のスマホを見てこれは?と指さした。



「チーズフォンデュのお店?いいね!美味しそう。」



歩いて少ししてから看板を見つけた。



オシャレな店が続く路地を歩いていくと、壁も看板も黄色いドアが。



「お二人ですか?」



と店員さんに言われて、窓側の席に案内される。



私がお手洗いに席を立つと、既に遙人が注文してくれていた。



「ありがとう。やっぱりお兄ちゃんやってるだけあるね。」



「そう?でも何となく、那美佳は俺の妹に似てると思う。あいつもバスケやってるし、学級委員とかやってるみたいだし。」



「へーー。バスケしてるんだ!遙人が運動したの見たことないけど、妹ちゃんは運動好きなんだね。」



「、、、、、、うん。そうだな。」



なんか、今日の遙人はいつもと違って元気がないような気がする。



いつもならもっと意地悪言って、言い合いになるのに。



そういうのが逆にないと、変な感じ。



「はい、ご注文のチーズフォンデュです。お好みでトッピング追加してください。」



そう言って目の前に置かれるチーズの海に釘付けだった。



四角く切られたバゲットを指して、チーズに付ける。



「遙人、」



顔を上げた遙人の口にバゲットを運ぶ。



「っ、びっくりした!!しかも、あっついわ!!」



そう言って、びっくりしてる遙人を見てなんだか安心した。



「今日の遙人ちょっと変だなーって思って。でも今のでちょっと戻ったみたい。」



私がそう言うと遙人はフッと笑った。



いつもの笑顔が戻ったかと思って笑うと、遙人が私の口にチーズのついたかぼちゃを食べさせてきた。



「んっ!!!!美味しい!!」



「なんだよ!!あっついって言えよ!!」



「あっ、ごめん。私全然猫舌じゃないんだ。」



俺だけが損したみたいと項垂れる遙人。



遙人が下を向いていたから良かった。



だって今、私の顔がすごくあっつい。



口の中じゃなくて、顔から熱が出る。



だってこれ、考えてみたら、カップルがすることみたいで。



自分が先にやり始めたのに、今更恥ずかしくなってくる。