「まぁ、そういう考え方もあるよな。協力はしたくないけど、話だけは聞いてやるか。」



「うん。そうしたらいいよ。」



私がそう言うと起き上がって、宿題をリュックから取り出した。



理系と文系を比べると、圧倒的に理系の方が宿題の量が多いと思う。



「そうだよねー。遙人、意外と順位上だもんねー。」



「なんだよ。俺が上だったら変なの?」



「いや、最初知った時はほんとにびっくりした。」



「いや、俺もびっくりしたけどね。那美佳は運動しかできないと思ってた。」



失礼なと思いつつも、何も言わないでおく。



また言い争いになりそうだし。



私も本を片付けて宿題を解き始める。



「そう言えばさ、ずっと聞いてみたかったんだけど、那美佳が古典とかそういうので一番好きな作品はなんなの?」




急にそんな質問をされて、なんだろうと考えてみる。



「物語は全部好きだよ。源氏物語、枕草子、平家物語。でも、一番好きなのはそういう物語に出てくる歌。」



「歌?」




「うん。」