「なんだー。私だけ弱み握られてるから、遙人の秘密も見つけようと思ったのに。」



私が残念がると遙人が笑った。



「本当に面白いわ。そういう所が体育会系だよな。やっぱり。」



「それ栞里にも言われた。でもさ、私達ってほんとに相性合わないよね。」



「ん?なんで?」



「だって、私は古典文学が好きだから。古典とか漢文とか、物語が好きだもん。でも、遙人はエジソンとか実話読むでしょ?しかも洋書。全く違うねって思って。」



本が好きでもこんなに好みが違う。



「確かにそうだな。物語なんて本当かどうかわからない話、俺は読まない。」



「夢がないなー。」



私がそう言ったら、言い合いになった。



源氏物語が面白いって言えば、人の恋愛なんて面白くないって言われて。



私がロミオとジュリエットは悲しいから読みたくないって言ったら、良さがわからないなんて損してるって言われて。



そんなくだらない言い合いは私の駅に着くまでしてた。



電車から降りると、さっきまで言い合ってたことがおかしくて二人で笑った。



「また明日な。」



「うん。また明日。」



電車が動き出して、私は階段を降りる。



すると、手に持っていたスマホが鳴った。



みると、



­­--­­--­­--やっぱり洋書が最高­­--­­--­­--




それだけ送ってきた遙人。



負けず嫌いなのかと思って、



­­--­­--­­--はいはい。­­--­­--­­--



と、呆れ顔のスタンプを送った。



意外と遙人との会話が楽しくて、その後も何度かやり取りをした。