何分かして遙人が帰ってきた。



「お待たせ。ありがとう、待っててくれて。」



「いや、別にいいけど。そんなにたくさん?」



遙人の手にはたくさんの本が。



5冊くらいあるけど、全部難しそうな英語が書いてある。



「それ全部洋書?」



リュックに本を入れながら遙人が答える。



「うん。シェイクスピアとか、エジソンの伝記とか。まぁ、普通のだよ。」



「それなら日本語に訳してあるのを読めばいいのに。」



そう言うと、歩きながら話そうと廊下に出た。



「いや、翻訳されたやつは全部正しく訳されているわけじゃない。だから、英語で書かれているやつのほうがいい。」



いつもとは違う真面目な顔で言う。



「ふーん。でも意外だったな。遙人がそんなの読むなんて。あっ、もしかして!遙人の秘密だったりして!」



「そんなわけあるか。那美佳じゃないんだし、俺は堂々と読むけど。」