「ほら、陸はこれやりな。ここが出来たら後は普通に解けるから。」



「ありがとうございます、栞里様!」



そう言って頭を下げる陸。



よろしい、なんて栞里も言ってる。



陸は普段テニス部で忙しいから、こうやってよく栞里に勉強教えてもらってるんだ。



「いいなー。栞里、私にもテストの山教えてー。」



「教えるからちゃんと座って。」



「はい!」



栞里が私の教科書を開いて、テストに出そうなところに印をつけていく。



「那美佳もあんなに運動できるのに。部活、入ればよかったじゃん。」



急に栞里が言った。



「うん。まーね。でも、私どのスポーツも好きだから、どれかひとつなんて選べないんだよねー。」



私は実は部活は運動部じゃない。




こんなに運動できるのになんで?って言われたけど、栞里と一緒に生徒会に所属している。



生徒会に入っている人は、部活に入ってない人が多い。



「でも、去年意外だったな。私、1年の体育祭の時那美佳のこと知ったけど、まさか生徒会に入るなんて。びっくりした。」




「確かに。1年の時はバレー部に入ってたし、中学の時から通ってたバドミントンクラブに通ってたし。クラブの友達に誘われて、バスケとかテニスとか、色んなのに誘われてた。」



「最初その話聞いた時はこの人何者?って思ったよ。」



「あはは!でも、いろんなの種目やるうちに、全部楽しくて、一つだけずっと続けるのもったいないなって。だから、生徒会に入って、自分の時間できた方がいいのかもって思ったんだ。」