ピッーー、ピッーーピッーー



まただ。

機械の音で、目が覚める。
毎朝、毎朝ーー、朝送れない為かご丁寧に制服までちゃんと着て、いつでも迎えに行く準備は出来ている。

そう、超ド級の寝坊助の世良を起こすのが、毎日の日課。

「いってきます!」


あれーー?

部屋の中に、違う家の中に人の気配を感じない。
いつも、賑やかな弟にそれを叱る母の雄叫びが、聞こえる筈なのに、それすら、聞こえない。

私は、家を振り返った。

「まっ、いっか」

世良の家は、道路を挟んで目の前。

私は、目と鼻の先にある家に飛び込む様に走った。


だけどーーっ。











「深鈴ーー。










もうーー迎えに来なくていいから」





世良がいた。


ううん、違う。
今、なんて言った?


「もう、迎えに来なくていいから。
もう、来るなよーー」



ねえーー世良。



私達は、14年間幼なじみだった。

違ったの?

なんで、急にダメなんて言うの?


「なんで?
好きな人でも、出来た?」


道路を挟み、行き交う車に人。

その中で、、私達はーーーー



「もう、会いに来なくていいからーー、それだけだから」

どうして、そんな苦しそうに叫ぶの?

どうして、泣いてるのーー?


「世良っ、待って!!

わかんないよ!
説明しなきゃわかんないよ。
どうして会いにいっちゃダメなの!?

世良っ!」


君に会いにいっちゃいけない理由があるなら、何?

私を遠ざけないでーー。
ひとりにしないで!!


だけど、私の願いは虚しく空を仰いだ。