ナナセは初めてだった。男女のフロントセックスが。アナルではブイブイいわせてきた彼女は人気商売もあって『処女』を売りにしてたからだ。フロントセックスが未だなのだから嘘ではあるまいと知る人も目をつむってくれる。そんな彼女が今まさに処女喪失中だ。大嫌いなヘビーユーザーの片想いの相手とナナセの初めての行為と考えるだけでニマニマする。のだが、執着系セックス(普通のでもと想うが)は苦しい。「ニシキド君、ギブギブ。しんどい」と身体を叩き伝えると、こういわれた。だから一緒に頑張った。彼はこう言う。「乙女系官能小説の様に、苦しくても、攻める殿方を受け止めるのが礼儀」です。と・・・

苦悶の表情の上にはてた二つの身体に、それを見て、うっすらナナセは想う。「若くない私がもう作品に残すモノなんて」無いよねと、しみじみ想う。
「アヤカ。君を守れたよ」と寝言のニシキドに、優越感を感じてた「ザマーみろ」と言う気持ちが、「私ナナセ様のバージン様ロスなのに」となきそう。
でもナナセはナナセだ。
これでみんなと一緒だ。
と想いながら、うっすら寒い孤独を 感じ眠りついた。