ある女が居た。


その女は、年を取らないと言う。


何故かは分からない。


ただ、いつまで経っても老けないというのだ。


その女は、隠れるように森の中で暮らしていた。


小さな可愛らしい木の家に、女は母親と二人で住んでいた。


その母親もまた、女と同じく年を取らなかった。




その話を聞き付けた政府は、すぐに部下を向かわせた。


そうして訳も分からず連れて行かれ、母とは引き離されてしまった。


女は、来る日も来る日も訳の分からない線を体中に張り巡らされ、血を取られ、目の回る量の質問に答えさせられた。


それでも女は耐えた。


いつか母と暮らした、あの穏やかな暮らしが戻ってくることを信じて…。




しかし、その願いは叶わなかった。


母は、帰らぬ人となってしまったのだ。


国の、研究材料として。




政府は、母の研究結果から、女に短期間で身籠る手術を施し、永遠に子どもを産み続ける機械にするとの結論を出した。


そうして、女は今も、産みたくもない子を産み続けているのだ。