「死にたい」と、女は言った。


しかし、「死にたい」と言う女に、世界は甘くなかった。




「死にたい」と言う女に、白衣を纏った男は言う。

「駄目だ、君は死なせない。」


「何故…?」

可哀想に、息を荒くした女は、涙目で男に問うた。


暗い地下室で眼鏡を光らせて、男は不気味に笑う。

「君がこの世界の救世主だからさ。」


眉をハの字にして震え出し、女は今にも泣き出しそうな顔で男を見上げた。


ギュッと固く目を閉じる。

「くぅっ…!!!」

女が苦しそうな声を出す。

「…お疲れさん。」


「フギャーッ…ホギャーッ…」

赤子の声が、暗い地下室に響いた。