「これは僕の国で約束を紡ぐおまじないです。こうして小指を絡ませて……指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲ーます……って」

指切りをしてみせた私に、少年はしばらくポカンとしたあと、あははっと愉快そうに大声で笑った。

「針千本だって! あんたの国は怖いな。でもそれなら絶対に約束は破られないな、すごいおまじないだ」

指切りをほどいた少年は自分の小指をしげしげと眺めたあと、肩を竦めもう一度楽しそうに「ひひひっ」と笑っていた。

「じゃあね」と言って手を振り、踵を返そうとする少年に向かって、私は慌てて声をかける。

「あの、名前……名前、教えてくれませんか?」

一番大事なことだ。後日、本宮殿に来ることがあっても名前が分からなければ会えないかもしれない。

けれど少年は眉を顰めると少し考えてから首を横に振った。