私がラデツキー将軍と話した内容は本当にそれだけだ。ただし、彼がスタディオン大臣の言葉にひどく傷つき憤慨していたことは、もちろん伏せておく。
「本当か?」
「本当ですっ!」
こちらの顔を覗き込みながら言うゲンツさんの目をしっかり見つめ返しながら言うと、彼はパッと顔を放し、それからどうしてか非常に不愉快そうな表情を浮かべた。
「ふーん……ならいいけどよ。……いや、やっぱよくねえ。面白くねえぞ」
「え?」
納得したのかしてないのか、よく分からないゲンツさんの反応に私は眉を顰めて目をパチクリさせる。
すると、ジリジリと壁際に追い詰められ、顔の脇にドンと手をつかれた。……これって壁ドン?
「ラデツキー将軍の部下が羨ましいってか? 確かにあのおっさんはオーストリアになくちゃならねえ名将だけどよ、でもお前にはもっと、もーーっと優秀で優しくて素晴らしいお師匠様がいるんじゃないのか? ん?」



